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2022年9月23日 記事掲載

埼北市町村ガイド

埼北よみうり配布エリアの22市町村を順に紹介していく連載コーナー。歴史、文化、地理、産業、観光など、各市町村の特色を掲載いたします。

Vol.19 美里町

たわわに実るブルーベリー

200基もの古墳が築かれた塚本山古墳群を始め、町内には500基以上の古墳が残り、県内最多。古代から平穏で住みやすい土地柄だったことがうかがえる。猪俣北古墳群からは、渡来人がこの辺りに住んでいたことが推測されるような土器も出土している。

平安・鎌倉時代には、武士集団・武蔵七党の一つ、猪俣党が現在の猪俣地区を拠点に勢力を振るった。猪俣党棟梁・猪俣小平六範綱は、平治の乱などで武功を立て、その戦いぶりは「平治物語」にも描かれている。猪俣一族の霊を慰める行事「猪俣の百八燈」(国指定重要無形民俗文化財)が毎年8月15日に行われ、108の塚に火が灯される。中世の名残にはほかにも、鎌倉街道として伝えられる道路があり、街道沿いには「大道北」「海道南」「市場」といった街道にまつわる古い地名が残る。「水殿瓦窯跡」(国指定史跡)には、瓦を焼く4基の窯跡が確認され、ここで作られた瓦は、源頼朝によって建立された永福寺(鎌倉市二階堂)での修理の際に使用された。

現在の町の前身となる東児玉、松久、大沢の3村は、明治の市町村制施行により、1889(明治22)に誕生した。19548昭和29)年、この3村が合併したことで美里村となり、84(昭和59)年に町制が施行された。町章は、前身の旧3村の融和と発展を願ってデザインされている。


塚に火を灯す猪俣の百八燈


水殿瓦窯跡

のどかに広がる田園風景

農業が盛んで、米麦二毛作のほか、ブロッコリーやキュウリなどの野菜が主要農産物。特産はブルーベリー。1999(平成11)年、町は養蚕からの転換を図り、ブルーベリーの栽培を推奨し、特産化を進めてきた。美里観光農園の会も組織され、多くの農園が所属している。同会で栽培されたブルーベリーは、県特別栽培農産物認証を受けている。

円良田地区では2016(平成28)年、遊休農地解消と、イノシシなどの獣害対策として、地域住民が営農団体を組織し、エゴマの生産を開始した。健康食品として注目されるエゴマを加工したオイルの販売は順調で、ふるさと納税の返礼品としても人気が高い。

黄金色のエゴマオイル

伝大伴部真足女遺跡

万葉集に収められた歌の舞台として、広木地区には今もその足跡が残されている。「枕太刀 腰に取り佩き ま愛なしき 背ろがまき来む 月の知らなく」。防人として北九州の防備に赴くことになった夫・檜前舎人石前への惜別の情を、残された妻・大伴部真足女が歌った。奈良時代の館跡と言われる「伝大伴部真足女遺跡」(県指定旧跡)に歌碑が建てられている。

この遺跡からほど近い場所には、「曝井」(県指定旧跡)がある。曝井とは、岩石に囲まれた湧水のことで、奈良時代、布を洗いさらすために使用された。ここでさらされた布の多くは、朝廷に納められたと伝えられている。湧水は当時、女性たちの共同作業場であり、男女の交流の場であった。「三栗の 中に向かえる曝井の 絶えず通はむ そこに妻もが」は、男女の恋の悩みを相談し合っていた様子が詠われている。

今も残る曝井

南北に長く、南部の山間地帯と中央以北の平坦地により構成されているのが特徴。2市2町に隣接している。鉄道はJR八高線が通り、上越新幹線本庄早稲田駅からも近い。主要道路は国道254号線で、関越自動車道寄居スマートインターチェンジが2021(令和3)年に開通したことから、交通の利便性が増した。

自然豊かな土地柄で、田畑や果樹園が広がり、夏が旬のブルーベリーは町の特産になっている。

ブルーベリー狩り

特産であるブルーベリーの摘み取りが人気。酸味と甘さのバランスが良い主力種のティフブルーが旬の7月中旬から摘み取りの最盛期を迎える。ブルーベリーを使ったジャムなどの加工品も人気が高い。

小林喜左衛門良匡は現在の美里町木部で1789(寛永元)年に生まれた。関流算術(江戸時代に考案された日本独自の数学)の大家。指導者としても優れ、生涯をかけて後進の育成に力を注いだ。

弟子たちが建てた碑

 

健康ウォーキング

町民の健康づくりを町の中核事業に据え、健康増進と予防医療による医療保険費削減を図る。2017(平成29)年から「ミムリン健幸ポイント事業」をスタートさせた。事業参加者は、ウォーキングの歩数、各種健(検)診の受診、運動教室などのイベント参加で獲得したポイントを、町内商店などで利用できる「みさと元気チケット」に交換できる。現在、町民の4人に1人が参加している。

新たな事業として、スマートインターチェンジから、役場、JR松久駅までをまちづくり拠点地区に位置付けた事業を計画している。

スマートインターチェンジ

美里町のデータ

人口 10,948人(令和4年10月1日現在)
世帯数 4,549(令和4年10月1日現在)
面積 33.41㎢
総生産額 748億5400万円(平成30年度)

取材協力:美里町

美里町地図

Copyright © saihokuyomiuri.

埼北よみうり新聞

2022年10月28日 記事掲載

埼北市町村ガイド

Vol.19 美里町

たわわに実るブルーベリー

200基もの古墳が築かれた塚本山古墳群を始め、町内には500基以上の古墳が残り、県内最多。古代から平穏で住みやすい土地柄だったことがうかがえる。猪俣北古墳群からは、渡来人がこの辺りに住んでいたことが推測されるような土器も出土している。

平安・鎌倉時代には、武士集団・武蔵七党の一つ、猪俣党が現在の猪俣地区を拠点に勢力を振るった。猪俣党棟梁・猪俣小平六範綱は、平治の乱などで武功を立て、その戦いぶりは「平治物語」にも描かれている。猪俣一族の霊を慰める行事「猪俣の百八燈」(国指定重要無形民俗文化財)が毎年8月15日に行われ、108の塚に火が灯される。中世の名残にはほかにも、鎌倉街道として伝えられる道路があり、街道沿いには「大道北」「海道南」「市場」といった街道にまつわる古い地名が残る。「水殿瓦窯跡」(国指定史跡)には、瓦を焼く4基の窯跡が確認され、ここで作られた瓦は、源頼朝によって建立された永福寺(鎌倉市二階堂)での修理の際に使用された。

現在の町の前身となる東児玉、松久、大沢の3村は、明治の市町村制施行により、1889(明治22)に誕生した。19548昭和29)年、この3村が合併したことで美里村となり、84(昭和59)年に町制が施行された。町章は、前身の旧3村の融和と発展を願ってデザインされている。


塚に火を灯す猪俣の百八燈


水殿瓦窯跡

のどかに広がる田園風景

農業が盛んで、米麦二毛作のほか、ブロッコリーやキュウリなどの野菜が主要農産物。特産はブルーベリー。1999(平成11)年、町は養蚕からの転換を図り、ブルーベリーの栽培を推奨し、特産化を進めてきた。美里観光農園の会も組織され、多くの農園が所属している。同会で栽培されたブルーベリーは、県特別栽培農産物認証を受けている。

円良田地区では2016(平成28)年、遊休農地解消と、イノシシなどの獣害対策として、地域住民が営農団体を組織し、エゴマの生産を開始した。健康食品として注目されるエゴマを加工したオイルの販売は順調で、ふるさと納税の返礼品としても人気が高い。

黄金色のエゴマオイル

伝大伴部真足女遺跡

万葉集に収められた歌の舞台として、広木地区には今もその足跡が残されている。「枕太刀 腰に取り佩き ま愛なしき 背ろがまき来む 月の知らなく」。防人として北九州の防備に赴くことになった夫・檜前舎人石前への惜別の情を、残された妻・大伴部真足女が歌った。奈良時代の館跡と言われる「伝大伴部真足女遺跡」(県指定旧跡)に歌碑が建てられている。

この遺跡からほど近い場所には、「曝井」(県指定旧跡)がある。曝井とは、岩石に囲まれた湧水のことで、奈良時代、布を洗いさらすために使用された。ここでさらされた布の多くは、朝廷に納められたと伝えられている。湧水は当時、女性たちの共同作業場であり、男女の交流の場であった。「三栗の 中に向かえる曝井の 絶えず通はむ そこに妻もが」は、男女の恋の悩みを相談し合っていた様子が詠われている。

今も残る曝井

南北に長く、南部の山間地帯と中央以北の平坦地により構成されているのが特徴。2市2町に隣接している。鉄道はJR八高線が通り、上越新幹線本庄早稲田駅からも近い。主要道路は国道254号線で、関越自動車道寄居スマートインターチェンジが2021(令和3)年に開通したことから、交通の利便性が増した。

自然豊かな土地柄で、田畑や果樹園が広がり、夏が旬のブルーベリーは町の特産になっている。

ブルーベリー狩り

特産であるブルーベリーの摘み取りが人気。酸味と甘さのバランスが良い主力種のティフブルーが旬の7月中旬から摘み取りの最盛期を迎える。ブルーベリーを使ったジャムなどの加工品も人気が高い。

小林喜左衛門良匡は現在の美里町木部で1789(寛永元)年に生まれた。関流算術(江戸時代に考案された日本独自の数学)の大家。指導者としても優れ、生涯をかけて後進の育成に力を注いだ。

弟子たちが建てた碑

健康ウォーキング

町民の健康づくりを町の中核事業に据え、健康増進と予防医療による医療保険費削減を図る。2017(平成29)年から「ミムリン健幸ポイント事業」をスタートさせた。事業参加者は、ウォーキングの歩数、各種健(検)診の受診、運動教室などのイベント参加で獲得したポイントを、町内商店などで利用できる「みさと元気チケット」に交換できる。現在、町民の4人に1人が参加している。

新たな事業として、スマートインターチェンジから、役場、JR松久駅までをまちづくり拠点地区に位置付けた事業を計画している。

スマートインターチェンジ

美里町のデータ

美里町地図
人口 10,948人(令和4年10月1日現在)
世帯数 4,549(令和4年10月1日現在)
面積 33.41㎢
総生産額 748億5400万円(平成30年度)

取材協力:美里町