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2023年1月27日 記事掲載

埼北市町村ガイド

埼北よみうり配布エリアの22市町村を順に紹介していく連載コーナー。歴史、文化、地理、産業、観光など、各市町村の特色を掲載いたします。

22.寄居町

Vol.22 寄居町

国指定史跡の鉢形城跡

中山道の熊谷宿から秩父を結び、さらに雁坂峠を越えて甲州(山梨県)まで続く古道「秩父往還」の宿場町で、中山道脇往還との交差点にあたり、荒川の水運とも相まって商業的に大いに繁栄していた。

1889(明治22)年の町村制施行に伴い、武蔵国榛沢郡の寄居町と藤田村と末野村の区域をもって寄居町が成立。1955(昭和30)年、折原村、鉢形村、男衾村、用土村と合併し現在に至る。

江戸時代に作られた『新編武蔵風土記稿』に「鉢形城落城の後、甲州の侍、小田原の浪士などより集まりて居住せし故の名なり」と記されている。中世の城郭の周囲に築かれた施設や集落などを「ネゴヤ(根古屋)」や「ヨリイ(寄居)」と呼んでいたとの研究成果もあり、鉢形城はじめ多くの中世城郭があることから起源は戦国時代までさかのぼると考えられ、「人が寄る町」「人が集う町」を象徴した名称であると推定されている。

ホンダ寄居工場

三ヶ山地区にあるのが、民間リサイクル施設群の「彩の国資源循環工場」。廃棄物の適正処理やリサイクルの一層の促進を図るため、県営の廃棄物最終処分場である環境整備センター内に20年ほど前に整備され、先端技術を有する各施設で効率的かつ効果的な資源再生と技術開発に取り組んでいる。平成23年度には工業用地を拡大し、環境負荷の軽減に寄与する製造施設も誘致した。

大手自動車メーカーの本田技研工業㈱埼玉製作所寄居工場が富田地区に完成し、2013(平成25)年に稼働を開始。年間25万台の生産能力を持つ四輪完成車工場で、 隣接する小川町のエンジン工場で生産されたエンジンの供給を受け、車体のプレス加工から完成車検査、出荷までを行っている。主な製造車種はシビックやフリード、ステップワゴンなど。20(令和2)年には従業員や来訪者の交通利便性の向上などを目的に、工場のすぐ近くに東武東上線の新駅「みなみ寄居駅(ホンダ寄居前)」が開業した。

鉢形城歴史館のジオラマ展示

町のシンボル的な存在となっているのが鉢形城跡。荒川を見下ろす断崖絶壁の上に建てられた中世の城跡で、一帯は鉢形城公園として整備されている。1932(昭和7)年に国指定史跡、2006(平成18)年に日本城郭協会の日本100名城に選定。園内には鉢形城歴史館があり、当時の様子をジオラマで再現した常設展示や季節の企画展などを行っている。城主だった北条氏邦の墓(正龍寺)など、町内には関連の文化財も多く保存されている。

中心市街地から近い正喜橋の北側に歌舞伎役者の七代目松本幸四郎(1870~1949年)の別邸があった。現在は雀宮公園として整備され、特に秋の紅葉は見事で町民の憩いの場となっている。また、同公園の近くには「君恋し」などで知られる作曲家の佐々紅華(1886~1961年)が晩年を過ごした数寄屋づくりの建物があり、現在は割烹旅館「京亭」として営業している。

雀宮公園

荒川が秩父山地から関東平野に流れ出す場所に位置。東西に約13.7㎞、南北に約12㎞で、面積は64.25㎢。町の中央を荒川が流れ、南西部が山地、北東部が開けた平野になっている。JR八高線、東武東上線、秩父鉄道の3路線が通り、町内に9つもの駅がある。また、国道140号や254号も通っていることから、交通の要衝地となっている。

鐘撞堂山から望む寄居町

鉢形城が舞台となった戦国時代の合戦を再現する寄居北條まつりは町を代表するイベント。甲冑武者にふんした地元住民らが、豊臣連合軍と北条軍による1590年の戦を再現するさまは圧巻で、会場の玉淀河原には毎年多くの見物客が訪れる。

同じ玉淀河原で夏に開催されるのが寄居玉淀水天宮祭。鉢形城跡から打ち上げられる花火と荒川に浮かぶ舟山車とのコントラストは見事で、夏の風物詩となっている。

町の西部に位置する風布・金尾地区を流れる風布川および源流の一つ日本水は環境省の「名水百選」に認定されている。その昔、日本武尊が東征の際に戦勝を祈願し釜伏山北面にある百畳敷岩に剣を突き刺すと裂け目から水が湧き出したという伝説があり、取水所には名水を求めに多くの人が訪れる。また同地区では古くからみかん栽培が盛んで、10月下旬から12月中旬にかけて各農園がみかん狩りを開催している。

荒川沿いにある巨大な木製水車が印象的な県立川の博物館は1997(平成9)年に小園地区にオープン。体験学習などを通じ荒川を中心とする河川や水と人々の暮らしとの関わりを学べる施設で、季節ごとに企画展も開催され、年間を通じて家族連れらが訪れる。

寄居玉淀水天宮祭

「スタートライン~新しい風」で2007(平成19)年にNHK紅白歌合戦に出場したシンガーソングライターの馬場俊英さんは寄居町出身。17(平成29)年には町のふるさと大使に就任している。

 

マラソンの元日本記録保持者で陸上中長距離の設楽悠太選手、一昨年の東京五輪女子柔道で金メダルに輝いた新井千鶴さん、プロ野球阪神タイガースの原口文仁選手など、トップアスリートを多く輩出している。

馬場俊英さん

 

3月に整備事業が完了する寄居駅南口周辺

中心市街地の活性化などを目的とした寄居駅南口および周辺の整備事業が最終段階を迎えている。2018(平成30)年から駅前ロータリーや荒川方面への道路の大幅な整備が進められ、今年3月に完了予定となっている。新しくなった道路沿いには各種イベントの会場や町民憩いの場などで利用してもらう広場「YORIBA」を設置、駅前には拠点施設「Yotteco」が今春にオープンする予定で、活性化への期待が高まっている。

寄居町のデータ

人口 32,237人(令和5年1月1日現在)
世帯数 14,886(令和5年1月1日現在)
面積 64.25㎢
総生産額 1380億7100万円(令和元年度)

取材協力:寄居町

寄居町地図

Copyright © saihokuyomiuri.

埼北よみうり新聞

2023年1月27日 記事掲載

埼北市町村ガイド

22.寄居町

Vol.22 寄居町

国指定史跡の鉢形城跡

中山道の熊谷宿から秩父を結び、さらに雁坂峠を越えて甲州(山梨県)まで続く古道「秩父往還」の宿場町で、中山道脇往還との交差点にあたり、荒川の水運とも相まって商業的に大いに繁栄していた。

1889(明治22)年の町村制施行に伴い、武蔵国榛沢郡の寄居町と藤田村と末野村の区域をもって寄居町が成立。1955(昭和30)年、折原村、鉢形村、男衾村、用土村と合併し現在に至る。

江戸時代に作られた『新編武蔵風土記稿』に「鉢形城落城の後、甲州の侍、小田原の浪士などより集まりて居住せし故の名なり」と記されている。中世の城郭の周囲に築かれた施設や集落などを「ネゴヤ(根古屋)」や「ヨリイ(寄居)」と呼んでいたとの研究成果もあり、鉢形城はじめ多くの中世城郭があることから起源は戦国時代までさかのぼると考えられ、「人が寄る町」「人が集う町」を象徴した名称であると推定されている。

ホンダ寄居工場

三ヶ山地区にあるのが、民間リサイクル施設群の「彩の国資源循環工場」。廃棄物の適正処理やリサイクルの一層の促進を図るため、県営の廃棄物最終処分場である環境整備センター内に20年ほど前に整備され、先端技術を有する各施設で効率的かつ効果的な資源再生と技術開発に取り組んでいる。平成23年度には工業用地を拡大し、環境負荷の軽減に寄与する製造施設も誘致した。

大手自動車メーカーの本田技研工業㈱埼玉製作所寄居工場が富田地区に完成し、2013(平成25)年に稼働を開始。年間25万台の生産能力を持つ四輪完成車工場で、 隣接する小川町のエンジン工場で生産されたエンジンの供給を受け、車体のプレス加工から完成車検査、出荷までを行っている。主な製造車種はシビックやフリード、ステップワゴンなど。20(令和2)年には従業員や来訪者の交通利便性の向上などを目的に、工場のすぐ近くに東武東上線の新駅「みなみ寄居駅(ホンダ寄居前)」が開業した。

>鉢形城歴史館のジオラマ展示

町のシンボル的な存在となっているのが鉢形城跡。荒川を見下ろす断崖絶壁の上に建てられた中世の城跡で、一帯は鉢形城公園として整備されている。1932(昭和7)年に国指定史跡、2006(平成18)年に日本城郭協会の日本100名城に選定。園内には鉢形城歴史館があり、当時の様子をジオラマで再現した常設展示や季節の企画展などを行っている。城主だった北条氏邦の墓(正龍寺)など、町内には関連の文化財も多く保存されている。

中心市街地から近い正喜橋の北側に歌舞伎役者の七代目松本幸四郎(1870~1949年)の別邸があった。現在は雀宮公園として整備され、特に秋の紅葉は見事で町民の憩いの場となっている。また、同公園の近くには「君恋し」などで知られる作曲家の佐々紅華(1886~1961年)が晩年を過ごした数寄屋づくりの建物があり、現在は割烹旅館「京亭」として営業している。

雀宮公園

荒川が秩父山地から関東平野に流れ出す場所に位置。東西に約13.7㎞、南北に約12㎞で、面積は64.25㎢。町の中央を荒川が流れ、南西部が山地、北東部が開けた平野になっている。JR八高線、東武東上線、秩父鉄道の3路線が通り、町内に9つもの駅がある。また、国道140号や254号も通っていることから、交通の要衝地となっている。

鐘撞堂山から望む寄居町

寄居北條まつり

鉢形城が舞台となった戦国時代の合戦を再現する寄居北條まつりは町を代表するイベント。甲冑武者にふんした地元住民らが、豊臣連合軍と北条軍による1590年の戦を再現するさまは圧巻で、会場の玉淀河原には毎年多くの見物客が訪れる。

同じ玉淀河原で夏に開催されるのが寄居玉淀水天宮祭。鉢形城跡から打ち上げられる花火と荒川に浮かぶ舟山車とのコントラストは見事で、夏の風物詩となっている。

町の西部に位置する風布・金尾地区を流れる風布川および源流の一つ日本水は環境省の「名水百選」に認定されている。その昔、日本武尊が東征の際に戦勝を祈願し釜伏山北面にある百畳敷岩に剣を突き刺すと裂け目から水が湧き出したという伝説があり、取水所には名水を求めに多くの人が訪れる。また同地区では古くからみかん栽培が盛んで、10月下旬から12月中旬にかけて各農園がみかん狩りを開催している。

荒川沿いにある巨大な木製水車が印象的な県立川の博物館は1997(平成9)年に小園地区にオープン。体験学習などを通じ荒川を中心とする河川や水と人々の暮らしとの関わりを学べる施設で、季節ごとに企画展も開催され、年間を通じて家族連れらが訪れる。

寄居玉淀水天宮祭

「スタートライン~新しい風」で2007(平成19)年にNHK紅白歌合戦に出場したシンガーソングライターの馬場俊英さんは寄居町出身。17(平成29)年には町のふるさと大使に就任している。

馬場俊英さん

3月に整備事業が完了する寄居駅南口周辺

中心市街地の活性化などを目的とした寄居駅南口および周辺の整備事業が最終段階を迎えている。2018(平成30)年から駅前ロータリーや荒川方面への道路の大幅な整備が進められ、今年3月に完了予定となっている。新しくなった道路沿いには各種イベントの会場や町民憩いの場などで利用してもらう広場「YORIBA」を設置、駅前には拠点施設「Yotteco」が今春にオープンする予定で、活性化への期待が高まっている。

寄居町のデータ

寄居町地図
人口 32,237人(令和5年1月1日現在)
世帯数 14,886(令和5年1月1日現在)
面積 64.25㎢
総生産額 1380億7100万円(令和元年度)

取材協力:寄居町