2020年12月25日 記事掲載
食生活の向上や医療の進歩などで日本人の 寿命は延び、今や『人生 100 年時代』と呼ば れています。埼北よみうりでは毎回テーマを 決め、専門家などからのお話をもとに〝豊か なシニアライフ〟を送るためのポイントをお 伝えします。今回は〝健康寿命〟をテーマに 専門家の方にお話を伺いました。
健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存せず、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のことで、2000年にWHO(世界保健機関)によって提唱されました。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されているため、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある〝健康ではない期間〟を意味します。厚生労働省によると2016年の日本人の平均寿命と健康寿命は下図のようになっています。平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84年、女性12.35年でした。今後、平均寿命が延びるにつれてこの差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。そのため、寿命を延ばすことだけでなく、いかに健康に生活できる期間を延ばすかに関心が高まっています。
日本人の平均寿命と健康寿命
埼玉医科大学 中元秀友 教授1983年に慶應義塾大学医学部卒業、同大医学部内科学教室研修医を経て、日本鋼管病院や国家公務員共済会福生病院などで内科勤務。1995年に埼玉医科大学腎臓病センター勤務、2007年に同大学総合診療内科教授、2014年に同大学病院副院長に就任、現在に至る。日本透析医学会の理事長を務めるなど、多くの学会にも所属。幅広いテーマで講演会の講師も務めている。 |
健康寿命において大切なポイントは、「食事」「運動」「社会参加」と言えるでしょう。一般的にもよく言われていることですが、お酒や甘いものは控えめにし栄養バランスの良い食事をとること、日常的な運動を心がけること、仕事・ボランティア活動・趣味などで社会との関わりを持つことが健康寿命を延ばすうえで重要なことだと思います。
介護が必要となってしまう病気として多いのが認知症と脳に関わる疾患です。特に認知症は生活環境が大いに関与します。定年退職を機に家に閉じこもりがちになってしまうことで、認知症の発症率も上がると考えられています。厚生労働省は都道府県別に平均の健康寿命を出していますが2016年の埼玉県の男性は73・10歳と全国2位でした。都心に近く働ける環境が整っているため、働くシニアの方が多いことが要因ではないかと思います。仕事のみならず、ボランティア活動や趣味などを通じ「社会との関わりを持ち続ける」ことはとても重要なことだと思います。
近年「フレイル」という言葉をよく耳にされると思います。〝虚弱〟を意味し、加齢に伴って心身が弱くなってきた状態を総じてフレイルと呼んでいます。フレイルの中でも、骨・関節・筋肉・神経といった運動器の障害により移動機能が低下をきたした状態を「ロコモティブシンドローム」、骨格筋量の低下に伴う筋力または歩行速度が低下する状態を「サルコペニア」と呼びます。これらも「食事」「運動」「社会参加」により進行を遅らせることができると考えられています。
社会環境も健康寿命を延ばす上で密接に関わりがあると思います。地域住民を中心に、自治体、医療機関、介護事業者、町内会、ボランティア団体などが一体となって高齢者を支える「地域包括ケアシステム」の充実が重要になってくるでしょう。そのためには自治体の財源が必要になってくると思うので、財源確保のためには地域活性化が大きなカギになってくるでしょう。地域包括ケアシステムがうまく機能し、高齢者が活躍できる社会づくりも大切です。
逸見純子さん小鹿野町出身で女子栄養大学卒の管理栄養士。勤務する㈱ファンデリーではお客様相談室長として、多くの人に食のアドバイスもしている。 株式会社ファンデリー東京都北区赤羽2-51-3 NS3ビル |
食は健康と密接な関係にあることは皆さんもよくご存知だと思います。
まず、年代を問わずすべての方に伝えているのが〝減塩〟の大切さです。塩分の摂りすぎは高血圧につながり、高血圧は様々な病気を引き起こします。特に脳血管疾患は寝たきりになってしまうなど、生活に支障をきたしてしまいます。
理想の食事は、主食(米・パン・麺類など)+主菜(肉・魚・卵・大豆製品など)+副菜(主に野菜による料理)を毎食バランスよく摂ることです。特に高齢者の方にはたんぱく質をしっかり摂るようお伝えしています。たんぱく質は人の体をつくる重要な栄養素で、筋肉だけでなく、皮膚や髪の毛、臓器、ホルモンなどのもとになります。特に肉や魚といった動物性たんぱく質はしっかり摂るようにしましょう。
高齢者の方で食事の量が極端に少なく「低栄養」になられる方も多くいらっしゃいます。低栄養になると体に不調をきたし病気などにつながってしまいます。私どもは身長・体重と1日の活動量をもとに必要摂取カロリーを割り出し、最低でもそのカロリーを食事で摂るよう提言しています。
食事の際は時間をかけて良く噛んで食べましょう。時間をかけるとより満腹感を得られやすくなりますし、吸収も良くなります。
私どもの会社では「ミールタイム」という冊子を年に4回発行し、宅配食の紹介をはじめ、食と健康の関係性についての記事なども載せています。医療機関で配布しておりますので、ぜひご覧になってください。
菊地湖太郎さん初心者やシニアでも始められるフィットネスジム「スマートフィット100熊谷警察署前店」の店長を務め、多くの会員をサポートしている。 スマートフィット100熊谷警察署前店熊谷市石原496 TEL.048-526-9180 |
運動が体に及ぼす様々な影響について述べさせていただきます。
大きく2つに分けられますが、一つは内科的要素です。一般的に健康診断の結果で表されるような血圧、血糖値、血中コレステロールなど。これらの数値を適正に保つには、食事に加え、適度な有酸素運動(比較的中軽度な負荷で長時間継続する運動。ランニングや水泳など)が重要になります。有酸素運動を行うことで血液がきれいになり、血液循環が良くなります。
もう一つは整形外科的要素です。年齢を重ねていくことで筋力や骨密度が低下します。筋力の低下は「ロコモティブシンドローム」につながり生活自体の活動量が低下していくので、寝たきりへの入り口となってしまいます。筋力トレーニングは筋力をアップすることに加え、脳神経への好影響も生じるため、認知症、うつ病、不眠などの予防にも良い効果が得られます。
運動することによって食欲増進の効果を得ることもできます。歳を重ねるとどうしても食事量が減りがちになり、それによって体に不具合が出るお話をよく聞いたります。食事をしっかりおいしく食べるためにも運動は効果てきめんと言えるでしょう。
運動が健康に良いとわかっていても、実際に長続きしない方も多いはずです。運動は習慣化させることが大切で、運動できる環境作りも大切です。環境が整っていると気持ちも運動モードにシフトされるので、自宅で行うトレーニングよりも集中してできるはずです。その環境が整っているのがフィットネスジムとなります。血圧が高めの人が外でウオーキングを行う際、寒暖差などに気をつけなければなりませんが、フィットネスジムはその心配もいりません。
シニアの会員も多い
スマートフィットは初心者やシニアの方でも始められるジムとなっていて、実際にシニアの会員の方も多くいらっしゃいます。皆さんとてもお元気です。ぜひ運動を習慣化させる場としてご利用いただけたら幸いです。
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2020年12月25日 記事掲載
食生活の向上や医療の進歩などで日本人の 寿命は延び、今や『人生 100 年時代』と呼ば れています。埼北よみうりでは毎回テーマを 決め、専門家などからのお話をもとに〝豊か なシニアライフ〟を送るためのポイントをお 伝えします。今回は〝健康寿命〟をテーマに 専門家の方にお話を伺いました。
健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存せず、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のことで、2000年にWHO(世界保健機関)によって提唱されました。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されているため、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある〝健康ではない期間〟を意味します。厚生労働省によると2016年の日本人の平均寿命と健康寿命は下図のようになっています。平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84年、女性12.35年でした。今後、平均寿命が延びるにつれてこの差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。そのため、寿命を延ばすことだけでなく、いかに健康に生活できる期間を延ばすかに関心が高まっています。
日本人の平均寿命と健康寿命
埼玉医科大学 中元秀友 教授1983年に慶應義塾大学医学部卒業、同大医学部内科学教室研修医を経て、日本鋼管病院や国家公務員共済会福生病院などで内科勤務。1995年に埼玉医科大学腎臓病センター勤務、2007年に同大学総合診療内科教授、2014年に同大学病院副院長に就任、現在に至る。日本透析医学会の理事長を務めるなど、多くの学会にも所属。幅広いテーマで講演会の講師も務めている。 |
健康寿命において大切なポイントは、「食事」「運動」「社会参加」と言えるでしょう。一般的にもよく言われていることですが、お酒や甘いものは控えめにし栄養バランスの良い食事をとること、日常的な運動を心がけること、仕事・ボランティア活動・趣味などで社会との関わりを持つことが健康寿命を延ばすうえで重要なことだと思います。
介護が必要となってしまう病気として多いのが認知症と脳に関わる疾患です。特に認知症は生活環境が大いに関与します。定年退職を機に家に閉じこもりがちになってしまうことで、認知症の発症率も上がると考えられています。厚生労働省は都道府県別に平均の健康寿命を出していますが2016年の埼玉県の男性は73・10歳と全国2位でした。都心に近く働ける環境が整っているため、働くシニアの方が多いことが要因ではないかと思います。仕事のみならず、ボランティア活動や趣味などを通じ「社会との関わりを持ち続ける」ことはとても重要なことだと思います。
近年「フレイル」という言葉をよく耳にされると思います。〝虚弱〟を意味し、加齢に伴って心身が弱くなってきた状態を総じてフレイルと呼んでいます。フレイルの中でも、骨・関節・筋肉・神経といった運動器の障害により移動機能が低下をきたした状態を「ロコモティブシンドローム」、骨格筋量の低下に伴う筋力または歩行速度が低下する状態を「サルコペニア」と呼びます。これらも「食事」「運動」「社会参加」により進行を遅らせることができると考えられています。
社会環境も健康寿命を延ばす上で密接に関わりがあると思います。地域住民を中心に、自治体、医療機関、介護事業者、町内会、ボランティア団体などが一体となって高齢者を支える「地域包括ケアシステム」の充実が重要になってくるでしょう。そのためには自治体の財源が必要になってくると思うので、財源確保のためには地域活性化が大きなカギになってくるでしょう。地域包括ケアシステムがうまく機能し、高齢者が活躍できる社会づくりも大切です。
逸見純子さん小鹿野町出身で女子栄養大学卒の管理栄養士。勤務する㈱ファンデリーではお客様相談室長として、多くの人に食のアドバイスもしている。 株式会社ファンデリー東京都北区赤羽2-51-3 NS3ビル |
食は健康と密接な関係にあることは皆さんもよくご存知だと思います。
まず、年代を問わずすべての方に伝えているのが〝減塩〟の大切さです。塩分の摂りすぎは高血圧につながり、高血圧は様々な病気を引き起こします。特に脳血管疾患は寝たきりになってしまうなど、生活に支障をきたしてしまいます。
理想の食事は、主食(米・パン・麺類など)+主菜(肉・魚・卵・大豆製品など)+副菜(主に野菜による料理)を毎食バランスよく摂ることです。特に高齢者の方にはたんぱく質をしっかり摂るようお伝えしています。たんぱく質は人の体をつくる重要な栄養素で、筋肉だけでなく、皮膚や髪の毛、臓器、ホルモンなどのもとになります。特に肉や魚といった動物性たんぱく質はしっかり摂るようにしましょう。
高齢者の方で食事の量が極端に少なく「低栄養」になられる方も多くいらっしゃいます。低栄養になると体に不調をきたし病気などにつながってしまいます。私どもは身長・体重と1日の活動量をもとに必要摂取カロリーを割り出し、最低でもそのカロリーを食事で摂るよう提言しています。
食事の際は時間をかけて良く噛んで食べましょう。時間をかけるとより満腹感を得られやすくなりますし、吸収も良くなります。
私どもの会社では「ミールタイム」という冊子を年に4回発行し、宅配食の紹介をはじめ、食と健康の関係性についての記事なども載せています。医療機関で配布しておりますので、ぜひご覧になってください。
菊地湖太郎さん初心者やシニアでも始められるフィットネスジム「スマートフィット100熊谷警察署前店」の店長を務め、多くの会員をサポートしている。 スマートフィット100熊谷警察署前店熊谷市石原496 TEL.048-526-9180 |
運動が体に及ぼす様々な影響について述べさせていただきます。
大きく2つに分けられますが、一つは内科的要素です。一般的に健康診断の結果で表されるような血圧、血糖値、血中コレステロールなど。これらの数値を適正に保つには、食事に加え、適度な有酸素運動(比較的中軽度な負荷で長時間継続する運動。ランニングや水泳など)が重要になります。有酸素運動を行うことで血液がきれいになり、血液循環が良くなります。
もう一つは整形外科的要素です。年齢を重ねていくことで筋力や骨密度が低下します。筋力の低下は「ロコモティブシンドローム」につながり生活自体の活動量が低下していくので、寝たきりへの入り口となってしまいます。筋力トレーニングは筋力をアップすることに加え、脳神経への好影響も生じるため、認知症、うつ病、不眠などの予防にも良い効果が得られます。
運動することによって食欲増進の効果を得ることもできます。歳を重ねるとどうしても食事量が減りがちになり、それによって体に不具合が出るお話をよく聞いたります。食事をしっかりおいしく食べるためにも運動は効果てきめんと言えるでしょう。
運動が健康に良いとわかっていても、実際に長続きしない方も多いはずです。運動は習慣化させることが大切で、運動できる環境作りも大切です。環境が整っていると気持ちも運動モードにシフトされるので、自宅で行うトレーニングよりも集中してできるはずです。その環境が整っているのがフィットネスジムとなります。血圧が高めの人が外でウオーキングを行う際、寒暖差などに気をつけなければなりませんが、フィットネスジムはその心配もいりません。
スマートフィットは初心者やシニアの方でも始められるジムとなっていて、実際にシニアの会員の方も多くいらっしゃいます。皆さんとてもお元気です。ぜひ運動を習慣化させる場としてご利用いただけたら幸いです。
シニアの会員も多い